なぜ土地売却に境界線の確認が重要なのか
土地の境界線が明確であることは、売主様にとっても買主様にとっても、安心して取引を進めるための大前提です。
あいまいな境界は、売却の成否や価格に直結する重要な要素となります。
●買主にとっての安心材料
土地を買う買主様は、購入する土地の正確な範囲を知りたいものです。
明確な境界は、将来の隣地トラブルを防ぎ、買主様の安心感を高めます。
特に建物を建てる予定の場合、建築可能な範囲を知るためにも境界確定は不可欠な条件です。
境界が曖昧な土地は、買主様にとって大きな不安要素となります。
●トラブル防止と円滑な取引のために
境界線が曖昧だと、契約遅延や契約白紙、買主からの値下げ要求のリスクが生じます。
トラブルを未然に防ぎ、スムーズかつ希望条件で売却するために、事前の境界確定は非常に重要な準備です。
これにより、買主様も安心して取引に臨めます。
長年所有している土地などでは、境界線に関して売却時に問題となるケースが少なくありません。
どのような点に注意すべきか、代表的な問題を知っておきましょう。
●境界標識がない・不明確
土地の境界を示す標識(コンクリート杭など)が、なくなっていたり、壊れていたりするケースはよくあります。
これが不明確だと、隣地所有者との間で土地の正確な範囲に関する認識が異なっている可能性も。
専門家による調査や復元が必要になります。
●隣地との越境問題
ご自身の建物や塀などが隣地に越境している、または隣地から越境されているといった問題も、境界に関連して起こりやすいトラブルです。
越境がある場合、売却前に解消するか、買主様と隣地所有者間で越境に関する覚書を取り交わすなどの対応が必要となり、手続きが複雑化することがあります。
●公簿面積と実測面積の相違
登記簿謄本に記載されている土地の面積(公簿面積)と、実際に測量した面積(実測面積)が一致しないことがあります。
特に古い土地では、公簿より実測が少ないことも。買主様は通常、実測面積に基づいて判断するため、正確な把握が重要です。
大きな差異は価格見直しに繋がることもあります。
境界線に不安がある場合や、売却のために境界を確定させる必要がある場合、どのように進めれば良いのでしょうか。
専門家の協力を得ながら進めるのが一般的です。
●既存資料の確認と準備
まずは、法務局などで取得できる公図や地積測量図、登記簿謄本など、土地に関する既存の資料を可能な限り集めます。
これらの資料は、土地家屋調査士が境界を特定する上で重要な手がかりとなります。
資料が揃っているほど、その後の手続きがスムーズに進む可能性があります。
●土地家屋調査士への依頼
境界線の正確な位置特定、測量、標識設置、図面作成などは、土地家屋調査士に依頼します。
資料と現地の調査に基づき境界点を特定し、法的な効力を持つ地積測量図などを作成。
測量や境界確定には費用と時間がかかるため、売却活動前の早い段階で依頼することが望ましいです。
●隣地所有者との立ち会い・確認
土地家屋調査士が境界案を作成後、原則として隣地所有者に立ち会いを依頼し、境界を確認してもらいます。
双方の合意が得られれば「境界確認書(境界協定書)」を作成・署名・押印。
この書類は、将来的な境界に関するトラブルを防ぐ強力な証拠となります。
円滑な立ち会いのためにも、事前に隣地所有者の方にご挨拶と協力のお願いをしておくと良いでしょう。
まとめ|土地売却における境界線確認は最重要チェックポイント
土地売却を成功させるためには、「境界線」を明確にすることが非常に重要です。
境界が曖昧なままでは買主様に不安を与え、取引の遅延や中断、さらには売却価格の引き下げにつながるリスクが高まります。
ご自身の土地の境界標識の有無や状態を確認し、不明確な点があれば、土地家屋調査士に依頼して専門的な測量・境界確定を行い、隣地所有者との間で「境界確認書」を取り交わすというステップは、売却活動を始める前の必須準備です。
一時的に費用や時間はかかりますが、これにより買主様の安心感が高まり、結果としてスムーズかつ希望に近い条件での売却に繋がる可能性があります。
土地売却を考え始めたら、まずは境界線の状態を確認し、不安があれば迷わず専門家である土地家屋調査士や信頼できる不動産会社に相談しましょう。