
土地の売却は、建物付きの不動産とは異なる独自の難しさや注意点があります。
境界線の問題、地中に埋設物がある可能性、複雑な法規制など、専門的な知識が求められる場面も少なくありません。
これらの注意点を見落としてしまうと、売却活動がスムーズに進まなかったり、買主様との間で予期せぬトラブルが発生したり、最終的に手元に残る金額が想定より少なくなったりする可能性があります。
ここでは、土地売却を成功させ、後悔のない取引を実現するために、売主様が特に押さえておくべき重要なポイントを分かりやすく解説します。
事前準備と情報収集の重要性
土地売却を始める前に、ご自身の土地に関する情報を正確に把握し、市場の状況を知ることが成功への第一歩です。
この初期段階の準備を怠ると、適切な価格設定や効果的な販売活動ができません。
●土地情報の正確な把握
ご自身の土地の面積や形状、隣地との境界が明確になっているかは、売却において非常に重要なポイントです。
もし境界が不明確な場合は、土地家屋調査士に依頼して測量を行い、隣地所有者と境界確認書を取り交わすことを強くおすすめします。
これにより、買主様は安心して購入できます。
また、都市計画法に基づく用途地域や建ぺい率・容積率といった建築に関する法規制、さらに過去の利用状況から地中に埋設物がないか(古い基礎や井戸、浄化槽など)、土壌汚染の可能性はないかなども、可能な範囲で事前に調べておくと、その後の手続きがスムーズです。
●相場価格の適切な調査
土地の売却価格は、固定資産税評価額や路線価だけでなく、立地条件や土地の特性、市場の需給バランスによって大きく変動する「実勢価格」が基準となります。
適切な売却価格を設定するためには、複数の不動産会社に査定を依頼し、それぞれの査定根拠をしっかりと比較検討することが不可欠です。
周辺で似たような条件の土地がいくらで売り出されているか、あるいは過去にいくらで成約したかといった情報を参考にしながら、ご自身の土地の客観的な市場価値を把握することが、早期かつ適正価格での売却につながります。
不動産会社選びと契約のポイント
土地売却の成功は、信頼できる不動産会社の存在に大きく左右されます。
不動産会社は、査定から販売活動、契約手続き、引き渡しまでを任せるパートナーとなります。
慎重に選び、媒介契約の内容を理解することが大切です。
●信頼できる不動産会社の選び方
土地の売却実績が豊富で、地域の不動産市場に精通しているかを確認しましょう。
複数の不動産会社に実際に会って相談し、担当者の対応の丁寧さ、専門知識、コミュニケーションの取りやすさ、そして提示される販売戦略や査定根拠が納得できるものかを比較検討します。
査定額が高いというだけで決めず、なぜその金額になるのか、どのように販売活動を行うのかを具体的に説明してくれる会社を選びましょう。
安心して任せられるパートナーを見つけることが、売却活動のストレス軽減にもつながります。
●媒介契約の種類と特徴
不動産会社に売却活動を依頼する際は、「媒介契約」を結びます。媒介契約には主に「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
一般媒介は複数の会社に依頼できますが、不動産会社には積極的な販売活動の義務が少なく、活動報告義務もありません。
専任媒介は1社にのみ依頼しますが、会社には5業務日ごとの活動報告義務があり、指定流通機構(レインズ)への登録義務があります。
専属専任媒介はさらに拘束力が強く、自分で買主を見つける「自己発見取引」も禁止されます。
ご自身の希望する販売活動の方針に合わせて、最適な契約形態を選択することが大切です。
土地売却の契約から引き渡しにかけては、多くの法的な手続きや確認事項が発生します。
特に、売主様が買主様に対して告知すべき事項については、後々のトラブルを防ぐためにも細心の注意が必要です。
●契約不適合責任と告知義務
民法改正により「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」となりました。
これは、引き渡した土地が契約内容に適合しない場合に売主が負う責任です。
土地の場合、境界の食い違い、地中埋設物、土壌汚染、擁壁の不備、過去の災害履歴などが不適合となり得ます。
売主様は、知り得た不適合(隠れたる不適合を含む)については、契約前に買主様に必ず告知しなければなりません。
重要事項説明書に正確に記載されるべき内容です。
告知を怠ると、引き渡し後に買主様から損害賠償や契約解除を求められる可能性があります。
些細に思えることでも、不動産会社と相談し、正確に伝えることが重要です。
●登記手続きの確実な進行
土地の所有権が売主様から買主様へ移転する際には、法務局での所有権移転登記手続きが必要です。
この手続きは複雑なため、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士は、売主様と買主様双方の委任を受けて、登記に必要な書類の準備・確認、法務局への申請代理を行います。
決済日当日に所有権移転登記の申請を行うことで、買主様は安全に土地の所有権を取得できます。
売主様は、登記済権利証(または登記識別情報)や印鑑証明書など、登記に必要な書類を正確に準備し、司法書士に引き渡す必要があります。
司法書士との連携を密にすることが、スムーズな引き渡しには不可欠です。
土地が売却できても、売却代金がすべて手元に残るわけではありません。
売却に伴って発生する様々な費用や、売却益にかかる税金があることを事前に理解し、資金計画を立てておくことが重要です。
土地売却にかかる主な費用としては、不動産会社に支払う仲介手数料、必要に応じて測量費用や建物の解体費用、売買契約書に貼付する印紙税、抵当権がある場合の抹消登記費用、司法書士への報酬などが挙げられます。
これらの費用は契約内容や土地の状況によって異なります。
また、土地を売却して利益が出た場合、その利益に対して譲渡所得税と住民税がかかります。
税額は、土地の所有期間(売却した年の1月1日時点で5年以下か5年超か)によって税率が大きく異なります。
マイホームの敷地を売却する場合には「3,000万円の特別控除」など、一定の要件を満たせば税金が軽減される特例もあります。
税金計算は複雑なため、事前に税理士や税務署に相談することをおすすめします。
まとめ|土地売却は事前の準備と専門家との連携が大切
土地売却には、価格設定、不動産会社選び、契約内容の確認、告知義務の履行、そして費用や税金の把握など、多岐にわたる注意点が存在します。
これらのポイントをしっかりと押さえることで、思わぬトラブルを回避し、希望する条件での売却を実現する可能性が高まります。
ご自身の土地に関する正確な情報を把握し、複数の不動産会社から査定を受けて適切な相場観を養い、信頼できるパートナーとなる不動産会社を慎重に選びましょう。
また、契約に関する法的な事項や税金については、思わぬ落とし穴がないか専門家のアドバイスを積極的に求め、確認を怠らないことが、安全でスムーズな取引には不可欠です。
計画的な準備と専門家との連携を通じて、土地売却の成功を目指しましょう。
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