
相続した実家や土地を売りたいものの、「まだ名義変更をしていない…」とお悩みではありませんか。
名義変更を済ませていない状態のまま不動産を売却することはできるのか、不安に思う方も多いでしょう。
結論からお伝えすると、名義変更をする前に第三者へ不動産を売却することは原則できません。
ただし、しかるべき手続きを踏めばスムーズに売却へ進めることが可能です。
本記事ではなぜ名義変更が必要なのかという理由から売却までの正しい手順、注意点までをわかりやすく解説します。
相続した不動産は名義変更前に売却できない理由
相続した土地や建物を売却する際、亡くなった被相続人の名義のまま買主へ所有権を移転させることはできません。
売買契約を結ぶ前に、まずは相続人への名義変更を完了させる必要があります。
ここでは、なぜ名義変更前には売却ができないのか、その法律上の理由とリスクについて詳しく解説します。
●法的に自分のものだと証明できないため
不動産の登記簿は、その所有者が誰であるかを社会的に証明する重要な役割を持っています。
登記上の名義が亡くなった人のままでは、売主自身が「自分にはこの不動産を売却する権利がある」と第三者に証明することができません。
そのため、名義変更前の状態では法的な効力を持った売買取引が行えないのです。
●買主が住宅ローンを組めなくなるため
不動産を購入する買主の多くは金融機関の住宅ローンを利用します。
金融機関が融資を行う際は対象となる不動産に担保を設定しますが、売主の名義が正しく変更されていない物件には融資を実行できません。
つまり、買主側がローン審査を通せなくなるため、結果として売買取引が成立しなくなってしまいます。
名義変更をしてから相続不動産を売却する4つの手順
相続不動産を安全かつスムーズに売買するためには、正しい手順で名義変更から売却までを進めることが大切です。
事前の準備を怠るとトラブルの原因にもなるため注意しましょう。
ここでは、名義変更を経て不動産を売却するまでの基本ステップを4つの工程に分けてわかりやすく紹介します。
●遺言書の確認と遺産分割協議を行う
まずは亡くなった方の遺言書があるか確認します。
遺言書がない場合は、相続人全員で誰がどの割合で不動産を引き継ぐかを話し合う遺産分割協議を行います。
協議がまとまったら、後々のトラブルを防ぐために全員の署名・押印が入った遺産分割協議書を作成しておきましょう。
●必要書類を集めて相続登記申請をする
名義変更を行うためには、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や相続人全員の住民票・印鑑証明書などの提出が必要です。
書類が揃ったら、不動産の所在地を管轄する法務局へ相続登記の申請を行います。
申請から完了までは数週間程度かかるのが一般的です。
●不動産会社に査定を依頼して売却活動を始める
名義変更の手続きと並行して、または完了後に不動産会社へ売却の査定を依頼します。
複数の会社に査定を依頼して信頼できる仲介業者を選びましょう。
媒介契約を結んだら、インターネットや広告などを通じて買い手を探す本格的な売却活動がスタートします。
●売買契約を締結して決済・引き渡しを行う
購入希望者が見つかり、価格や引き渡し時期などの条件が合意に至ったら売買契約を締結します。
買主からの代金決済と同時に不動産の所有権移転登記を行い、鍵を引き渡せば売却手続きは完了です。
売却後に利益が出た場合は、確定申告が必要になる点も覚えておきましょう。
相続不動産を売却する際の注意点
相続した不動産の売却には、通常の中古物件売買とは異なる法的な注意点がいくつか存在します。
後から予期せぬトラブルや税金の負担に悩まされないよう、事前にリスクを把握しておきましょう。
ここでは、相続不動産の売却時に押さえておくべき重要な注意点を解説します。
●相続登記の義務化に注意する
2024年4月より、相続登記が法律で正式に義務化されました。
不動産を取得したと知った日から3年以内に名義変更を行わない場合、過料が科される可能性があります。
「売る予定がないから」と放置せず、売却の有無にかかわらず早めに名義変更へ着手することが重要です。
●名義変更と売却にかかる費用や税金を把握しておく
不動産を名義変更する際には登録免許税や司法書士への報酬が発生します。
さらに売却によって利益が出た場合は譲渡所得税の納付も必要です。
ただし条件を満たせば3,000万円の特別控除などの節税特例を活用できるため、売却前に税理士や不動産会社へ相談することをおすすめします。
まとめ|まずは名義変更の手続きから始めよう
相続した不動産は、名義変更をしないまま第三者へ売却することはできません。
売買取引を安全に進めるためには、遺産分割協議を行って自分へ名義を変更してから売却活動に入ることが必須のプロセスとなります。
名義変更の手続きには戸籍の収集など一定の時間と手間がかかるため、売却を思い立ったらできるだけ早い段階で準備を始めるのが成功の鍵です。
手続きに不安がある場合は、司法書士や信頼できる不動産会社などの専門家に相談しながら、スムーズな売却を目指しましょう。








