
マイホームや土地などの大切な資産を売却する際、もっとも警戒すべきトラブルの一つが不動産業者による囲い込みです。
「早く高く売りたい」と願う売主の気持ちを裏切り、不動産会社が自社の利益を最優先するために物件情報を独占するこの行為は、売却期間の長期化や大幅な値下げへと繋がるリスクを孕んでいます。
本記事では不動産売却を検討している方に向けて囲い込みが起こる仕組みや業者が使う巧妙な手口、そしてそれらを見破るための具体的な見分け方を徹底解説します。
なぜ起こる?不動産の囲い込みが横行する仕組み
不動産の囲い込みとは、売主から売却を依頼された不動産会社が、他社から「この物件を買いたいお客さんがいる」と紹介されても、嘘の理由で断り物件を独占する行為です。
なぜこのような不利益な行為が横行してしまうのでしょうか。
その背景には、日本の不動産業界が抱える仲介手数料の仕組みが深く関係しています。
●不動産会社が狙う両手仲介の存在
囲い込みが発生する最大の理由は、不動産会社が両手仲介による利益の最大化を狙うためです。
両手仲介とは、1つの不動産会社が売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る契約を指します。
他社が連れてきた買主で成約すると、手数料は売主からしか貰えません。
そのため、自社で買主を見つけて手数料を2倍にするために、他社からの問い合わせを意図的に遮断してしまうのです。
●レインズの登録制度を悪用した抜け道
売却を依頼された不動産会社は、国土交通大臣が指定する不動産流通標準情報システム「レインズ」に物件を登録し、全国の業者に情報を公開する義務があります。
しかし、システム上は登録して公開しているように見せかけながら、他社から電話で買い付けの打診があった際には「すでに商談中である」などと虚偽の回答をして門前払いする手法が後を絶ちません。
悪質な囲い込みを疑うべき3つの見分け方
囲い込みは床下や裏側で行われるため、売主が普通に生活しているだけではなかなか気付けないのが厄介なところです。
しかし、不動産会社の言動やレインズのステータスを注意深く観察することで、不自然な兆候を察知することができます。
大切な資産を守るために、必ず覚えておきたい3つの見分け方を解説します。
●レインズの登録証明書とステータスを確認する
物件がレインズに正しく登録されると、不動産会社から登録証明書が交付されます。
ここに記載されたIDとパスワードを使えば、売主専用の画面から自分の物件の取引状態をリアルタイムで確認可能です。
もし、まだ誰とも具体的な交渉をしていないにもかかわらず、ステータスが「書面による購入申込あり」や「売却中」になっていれば、囲い込まれている可能性が極めて高いと言えます。
●他社に依頼して覆面調査をしてみる
最も確実な見分け方は、知り合いの不動産会社や、他の仲介業者に依頼して一般のお客さんを装って自分の物件に問い合わせてもらう方法です。
もし自分の担当業者から「あの物件はもう申し込みが入っています」「内見はできません」と断られたにもかかわらず、売主であるあなたにその報告が入っていなければ、確実に他社からの客付けを拒否する囲い込みが行われています。
●担当者から購入希望者が現れない理由を問い詰める
立地も良く価格も相場通りなのに、なぜか1ヶ月以上も内見の予約が1件も入らないという場合は要注意です。
担当者に理由を聞いた際、市場のせいにしたり具体的な根拠もなく大幅な値下げだけを提案してきたりする場合は、囲い込みによって他社からのアクセスを遮断し、売主を精神的に追い詰めて自社の顧客へ安く売り着けようとしているシナリオが疑われます。
不動産会社の囲い込みを見分ける方法を知ることも大切ですが、何よりも重要なのは最初から囲い込みをさせない環境を作ることです。
契約の結び方や業者選びを少し工夫するだけで、トラブルのリスクは大幅に下げられます。
●複数社と契約できる一般媒介契約を検討する
囲い込みは、特定の1社に売却を任せる専任媒介契約や専属専任媒介契約で起こります。
これに対して、同時に複数の不動産会社へ売却を依頼できる一般媒介契約を選べば、業者間で競争が生まれるため、特定の会社が情報を隠蔽することは事実上不可能になります。
他社に先を越されては困るため、各社が積極的に買主を探してくれるメリットもあります。
●両手仲介を狙わない売主専門の会社を選ぶ
最初から両手仲介を原則として行わない、または片手仲介に特化した売主専門の不動産エージェントに依頼するのも賢い選択肢です。
買主からの手数料を期待しないビジネスモデルの会社であれば、物件情報を100%オープンにして全国の不動産会社から広く買主を募ってくれるため、囲い込みのリスクを根本から排除し、最高値での売却を目指せます。
まとめ|業者の見極めと毅然とした態度が売却成功のカギ
不動産の囲い込みは、売主にとっては売却機会の損失や想定外の値下げを強いられる実害の大きい行為です。
これを防ぐためには、任せきりにするのではなく、売主自身がレインズのステータスに関心を持ち、業者の動きをチェックする姿勢を見せることが最大の抑止力になります。
信頼できるパートナーを見極める目を持つとともに、万が一不審な動きを感じた際には一般媒介に切り替えるといった毅然とした態度で臨み、納得のいく不動産売却を成功させましょう。
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