不動産を購入した際にはほとんどの方が代金の支払い方法として「住宅ローン」を選択するでしょう。
住宅ローンは計画通りに返済していくのが普通ですが、何かしらの理由があり返済が難しくなってしまうケースがあります。
そのような場合、住宅ローンを滞納してしまい、最終的に不動産を競売にかけられてしまうことがあります。
本記事では競売にかけられる前の救済措置である任意売却の流れや不動産会社の選び方について詳しくご紹介します。
競売とは?
まずは任意売却の前に、競売について簡単にご説明しましょう。
住宅ローンを滞納すると催告状や残債の一括返済を経て6ヶ月で保証会社が競売の申し立てをおこないます。
競売にかけられると不動産の持ち主が自由に売却することはできず、法的な効力が働いたうえで債権者が強制的に不動産を売却します。
競売にかけられると、自分で不動産を売却する手間が省ける代わりに、売却代金が低くなるというデメリットがあります。
また、競売では不動産の状況を確認するべく現況調査がおこなわれますが、そこで得た情報は一般に公開されるためプライバシーが侵害されてしまいます。
さらには法律に沿って売却が進むため、「いつ売却するか」という点を持ち主が決めることはできず、非常に自由度が低いと言えます。
競売になる前に自宅を売却できる「任意売却」とは?
競売は持ち主にほとんど自由がない状態で売却されるのが特徴であるため、誰しも「競売にかけられたくない」と思うはずです。
そういった人のために救済措置として用意されているのが「任意売却」です。
任意売却とは住宅ローンが残っている不動産の抵当権を解除し、一般市場で売却する方法です。
競売と違い、退去する日をある程度選ぶことができ、相場に近い価格で売却することも可能であるため自由度は非常に高いでしょう。
不動産の情報が公開されることもないためプライバシーが侵害されることもありませんし、住宅ローンの残債に関しても分割払いの交渉が可能な場合もあります。
このように、任意売却は競売に比べて自由度が高く、持ち主への負担が少ないことから「救済措置」と言われているのです。
任意売却の流れ
いざ任意売却をするとなればどのような流れで進んでいくのでしょうか。
以下の8つのステップに沿って詳しくみていきましょう。
住宅ローンの支払いが2ヶ月ほど滞ると、銀行から催促状が届きます。
催促状が届いているにもかかわらず3〜6ヶ月放置していると、住宅ローンを分割で支払うことができなくなり、残債を一括返済するよう求められます。
催促状が届いた時点でやりくりに困難を感じている状況だと思いますので、すぐに任意売却を得意とする不動産会社を探しましょう。
●不動産業者に相談する
任意売却をすることを決めたら、代わりに不動産の売却活動をしてくれる不動産会社を探す必要があります。
不動産会社の選び方のポイントは以下のとおりです。
・
任意売却の知識・実績が豊富
・
弁護士・司法書士とのコネクションがあるか
・
スピーディーに対応してくれるか
・
各種手続きにかかる費用を明確に示してくれるか
これらに当てはまっている不動産会社は任意売却に強く、売主が不利にならないように動いてくれますので、慎重に選んでください。
●住宅ローンの残債を把握する
任意売却をおこなうためには、住宅ローンの残債がいくらあって、売却後どのように支払っていくかを計画する必要があります。
その計画を細かく記したものを支払い計画書といい、住宅ローンの返済予定表と照らし合わせて作成します。
●銀行から任意売却の許可をもらう
任意売却をするには銀行など金融機関の許可を取る必要があります。
助っ人となる不動産会社と協力して交渉をしましょう。
●任意売却の手続き・売却活動をする
債権者である金融機関の許可を取れたら、不動産会社が買主の募集活動をおこないます。
買主が見つかったら、金融機関に価格の報告をおこなったうえで売却可否の判断を仰ぎます。
●売買契約成立後に購入者が決済する
晴れて売買契約が成立すれば、買主が決済をおこないます。
●所有権移転
決済をおこなった後は買主に所有権移転をおこないますが、一般的には司法書士が代行してくれます。
●新生活スタート
不動産の決済と所有権移転が終われば、ここで任意売却は完了です。
本来であれば決済後すぐに不動産を引き渡す必要がありますが、買主との交渉により引っ越しまでに猶予がもらえることもあるでしょう。
「任意売却」と聞けば手順が多く難しそうと感じられるかもしれませんが、基本的には一般の売却と変わりません。
重要なのは催促状が届いた時点で、信頼できる不動産会社に相談して二人三脚で売却活動を進めていくことと言えるでしょう。
まとめ
住宅ローンの支払いが苦しくなり滞納の状態が続いてしまうと、必然的に競売にかけられてしまいます。
競売にかけられると色々な面で自由が利かず、プライバシーも侵害されてしまうリスクがあるでしょう。
競売にかけられる前に任意売却で手を打つことは可能ですので、まずは任意売却に強い不動産会社に相談することをおすすめします。